数学ガール

以前から気になっていた数学ガールを偶然近所の図書館で見つけたので読み始めた。記念すべき数学ガールシリーズの第1巻である。

著者 : 結城浩
ソフトバンククリエイティブ
発売日 : 2007-06-27

本書を読んでいると,静かだが,美しい世界,落ち着いて物事を考える時のあの充溢した感覚。そういったものが蘇ってくる。cafeでゆっくりと本書を読みながら数学の世界に浸るのはなかなか至福の時である(現実は通勤電車だが)。

僕は夜が好きだ。家族が寝静まり、自由な時間が前に広がっている。誰も入ってこない世界がある。そこで僕は一人で過ごす。本を広げ、世界を探索する。数学を考え、深い森に分け入る。珍しい動物や、驚くほど澄んだ湖や、見上げるほど大きな木を発見する。思いがけず美しい花に出会う。

数学について

簡単な数列のクイズから話は始まる。フィボナッチ数,n乗数。また,約数の和の公式の導出。 なぜ素数に1は含まれないかの話。 構造のシンプルさ,美しさ。その発見。

社会人になってから,自分の中で数学が以前よりより一層魅力的な学問になってきている。ソフトウェア開発者という職業柄抽象化の重要性を肌で感じていることが数学がより魅力的に見えてきている理由の一因になっていることは間違いない。しかし,学生時代でも理論物理学の研究室で数式と戯れることが日課だったことを鑑みるに,論理がなかなか通じないこの世間の中で論理が支配する数学の世界というのは安息の場所となっているかもしれない。正しい仮定のもと,厳密に思考を進めていけば正しい解答に導かれる世界は良かったと。

終わりに

少しずつ,この論理的で美しい世界を愉しんでいく所存。

最後に気に入ったフレーズをもう一つ。

でも、この目じゃない。 構造を見抜く、心の目が必要なんだ。